国土交通省が公表した2021年1月1日時点の地価公示によりますと、商業・工業・住宅の全用途(全国)で0.5%マイナス(前年1.4%上昇)と6年ぶりに下落しました。
住宅地は0.4%減(同0.8%)と5年ぶりに、商業地は0.8%減(同3.1%)と7年ぶりにいずれも下落に転じ、新型コロナウイルス感染症の影響により全体的に弱含みとなりましたが、地価動向の変化は用途や地域によって異なりました。
地方圏は、全用途平均0.3%減(前年0.8%)で4年ぶり、住宅地が前年比0.3%減(同0.5%)で3年ぶり、商業地は0.5%減(同1.5%)で4年ぶりに下落となりました。
国土交通省では、住宅地については、取引の減少、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となったことなどを背景に、全体的に需要は弱含みしたこと、中心部の希少性の高い住宅地や交通利便性等に優れた近郊の住宅地で上昇が継続しているが、昨年より上昇が見られる地域の範囲が狭まっていること、地方四市をはじめ地方圏の主要都市では、上昇の継続が見られる等、昨年からの変動率の変化は比較的小さいなどの特徴を示しております。
商業地については、店舗やホテルの需要減退、先行き不透明感から需要者が価格に慎重な態度などを背景に全体的に需要は弱含みしたこと、とくに国内外の来訪客増加による店舗、ホテル需要でこれまで上昇してきた地域や、飲食店集積地域では、比較的大きな下落をしたこと、一方で三大都市圏の中心部から離れた商業地や地方圏の路線商業地など日常生活に必要な店舗等の需要の対象地域では、昨年からの変動率の変化は比較的小さいとしております。
なお、全国の最高額は東京都中央区銀座4の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートルあたり5,360万円で、前年と比べて7.1%下落しました。
このあと毎年7月には、国税庁から相続税・贈与税を計算するときの土地の評価額である路線価が公表されますが、地価公示価格は、売買実例価額や不動産鑑定士等による鑑定評価額等とともに、路線価を算定する際の基となることから、今回の地価公示価格の下落が、路線価にどの程度影響するのか、動向が注目されております。
(注意)
上記の記載内容は、令和3年5月17日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。